歴史文化学コース History

堀内 隆行 (HORIUCHI Takayuki) 准教授

[研究領域] 南アフリカ史、イギリス帝国史
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高校の世界史は、大学に入ると東洋史と西洋史に分かれます。多くのみなさんは、東洋史が中国などアジアの、西洋史がヨーロッパやアメリカ合衆国の歴史だと思われていることでしょう。間違ってはいないのですが、問題はそれほど簡単でもありません。西洋史を中心に考えてみると、その範囲はラテンアメリカやオセアニアにも及びます。これらの地域は、ヨーロッパ諸国による植民地化の影響を強く受けてきたためです。植民地化ということに注目するなら、ふつう東洋史に分類されるアジアやアフリカの歴史も、一部は西洋史になるでしょう。実はわたしも、専門は19世紀以降の南アフリカ史、イギリス帝国史です。

ただし、専門を決めるまでの道は平坦ではありませんでした。そもそも、大学に入学したときには歴史をしようと思っていなかったのです。それが、近代ヨーロッパの東洋認識を論じたサイードの『オリエンタリズム』や、イギリス人の大英帝国意識についての本などに刺激されて、西洋史、イギリス史を専攻することになりました。しかし、勉強を進めていくにつれ、テーマ設定に行き詰まりを感じはじめます。そうしたとき、1899~1902年のボーア戦争から南アフリカ史に興味を持つようになりました。その後も紆余曲折があって、戦争以前の英領ケープにおける、オランダ系入植者の帝国認識で卒論を書こうと決めたのは4年生の夏休みでした。それから十数年、現在は1920、30年代のカラード(ケープタウン周辺の先住民、解放奴隷、「混血」の人びと)を中心に、帝国主義の時代から20世紀後半のアパルトヘイトの時代へ、意識がどのように変化していったかを研究しています。これは、ヨーロッパから遠く離れたとみるべきでしょうか。それとも長年、認識や意識など同じようなことをしてきたとみるべきでしょうか。

誤解しないでほしいのですが、金沢大学の西洋史に来て近代史を専攻するからといって、南アフリカ史やイギリス帝国史しかできないわけではありません。講義ではルネサンスから現代までの幅広い地域をカヴァーしていますし、卒論のテーマもさまざまです。オーソドックスに見えるヨーロッパの歴史にも、旧来の政治史・経済史ではない、社会史や文化史といったフロンティアが存在します。他人とは違った、オリジナリティあふれる研究を目指してほしいと思います。英語や英語圏の歴史にしか価値を見出さない、偏ったグローバル化の潮流は、多様性を重んじてきた人文学の伝統にはそぐわないのです。

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