人間科学コース Human Sciences

岩本 健良 (IWAMOTO Takeyoshi) 准教授

[研究領域] 社会学
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【チャンスが開かれた社会をめざして】

皆さんがこの大学に入学できたのは、自分の努力の結果だと思いますか、それとも親のおかげだと思いますか? もちろん努力なしでは入学できなかったことでしょう。しかし、授業料が安い大学であっても、経済的理由等で進学を諦める人が、日本にも少なからずいます。

目を世界に広げると、どうでしょうか。ネットを通じて世界中に広まった『世界がもし100人の村だったら』(マガジンハウス社)という話の中に「村人のうち、1人が大学教育を受け、2人がコンピューターを持っています。」という一節があります。逆に言えば、100人のうち99人は大学教育を受けていないのです。この99人の中には、18歳以下の子どもたちも含まれますが、そのうち18歳までに亡くなる子どもも多数います。

誰もがより自由にのびのびと力を発揮できる社会とはどのような社会なのでしょうか?。どうすればそれに近づくことができるのでしょうか? 私は教育機会の格差の分析から研究をスタートしました。全国の研究者と、SSM調査という数千人規模の全国調査の全体のプロセスを体験しました。1995年の調査から、中学3年生の時に同じ学力の2人であっても、父親の職業グループによって、大学進学率が2倍以上も違う、という格差がどの年代でもみられました。

データによる計量的な分析以外に、別のアプローチにもチャレンジしています。進学・就職・結婚、と並べたとき、その共通点は何でしょう? 結婚(ここでは話をわかりやすくするために異性(男女)間に限定して考えます)は、男女どちらも、いやな相手と無理に結婚するよりは独身でいたい、という選択も認められるべきでしょう。同じように、行きたくない大学や企業には無理には行かなくてよく、大学や企業にとっても採りたくない人材を無理に採る必要はありません。数理的には、「社会的マッチング」という構造で、しかもこれらは双方が選ぶ権利を持っている「両側選好」という特徴を持っています。

その後、高等教育(短大・大学以上の教育)を取り巻く制度に研究関心を広げてきました。入試制度が変われば、同じ学力・大学の選好(志望)を持っていても、入る大学は大きく異なることがあります。また学術情報の流通を支える制度の改革にも汗を流しました。日本社会学会に働きかけ、文献情報データベースを構築しました。またアカデミックな世界を支える価値理念−研究倫理についても、海外動向も踏まえて考察を進め、学会の倫理宣言の制定にも関わりました。最近では学生との調査実習を兼ねた研究プロジェクトで全国自治体調査を行い分析を進めています。また大手新聞社による「大学ランキング」の中の数項目を分析し、その順位はいい加減な操作に基づき根拠が乏しいことを明らかにしました。

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