言語文化学コース Linguistics and Literature

和泉 邦子 (IZUMI Kuniko) 教授

[研究領域] 英語学英米文学
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【ジェンダーで読む英語圏文学・文化研究のすすめ】

私の研究テーマはジェンダーで読む英語圏文学・文化論。ヘンリー・ジェイムズという難解な文章で知られる作家研究が出発点でしたが、次第に関心の範囲が広がり、今では、トニ・モリスンを中心とする黒人女性作家、アジア系アメリカ文学、ストウ・ウルフなどの女性作家にも力を入れつつ、人種・階級・ジェンダー/セクシュアリティなどのカテゴリーが重層的に交錯し合う文学・文化表象の分析に取り組んでいます。

ジェンダーの分析視点は、既存の学問体系と比べると、まだ比較的新しい学問で、我々が、社会通念として鵜呑みにしていたかもしれない思考法を批判的に疑ってみる作業を必要とします。例えば、私たちが子供の頃から慣れ親しんできた白雪姫やシンデレラなどの「おとぎ話」のストーリーに、他力本願的な「女らしさ」を刷り込もうとするジェンダー・イデオロギーを批判するようなフェミニズム的な読みが登場することになったのは、せいぜい、1970年代ぐらいからであると言われています。

私自身、受け売りの「お勉強」のレベルにとどまっていた文学研究が、自分自身の生き方の問題と重ね合わされるようになっていったのは、このジェンダーの視点との出会いを抜きにしてはありえませんでした。特に、転換点となったのは、ヘンリー・ジェイムズの『ねじの回転』という幽霊物語に、19世紀英国のヴィクトリアニズムにおけるジェンダー抑圧の問題をフェミニズム的に解読していく視点に出会ったことです。その転換点以降、文学研究は、私に取って思考する主体であり続けることを模索する場となっていきました。

ジェンダー問題は、日常の身近かなところにたくさんの課題がころがっていると同時に、広く国際的に構造化された問題でもあります。アメリカのジェンダー研究所で出会った女性研究者がはるか遠くの日本に住む私たちと驚く程、類似の問題を抱えていることを知ったときは、この問題の根の深さと広がりにわくわくしました。これからも、女性研究者として、思考する主体であり続けることを目指して、従来の英米文学研究において、ないがしろにされがちであった「女」の主体の問題をどのように捉え直していくべきなのかと問い続けていこうと思っています。みなさんも、一緒にこの問題に取り組んでみませんか?

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