人間科学コース Human Sciences

神谷 浩夫 (KAMIYA Hiroo) 教授

[研究領域] 都市社会地理学とくに地域における女性就業と福祉政策
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私の主履修分野は人文地理学です。人文地理学の中でもとくに、都市地理学、社会地理学に分類されます。みなさんが大学を選び、卒業後には地元に戻るのか、あるいは東京や大阪など大都市へと活躍の場を求めて引っ越すのか、それとも大学時代を過ごした金沢にとどまるのか、といったライフコースの地域性です。

地域の発展を支えるのは、企業でも自治体でもありません。それは、人材です。その地域に優れた人材を引き付けることができれば、たとえ資源や交通アクセスに恵まれなくとも地域を発展させることができます。しかし日本の現状は、大都市へ指向する傾向が非常に強いと言えます。けれども、こうした現象が必ずしも先進国に共通しているとは言えません。アメリカやイギリスの人口動態を観察すると、人口が増加しているのは大都市よりもむしろ中小都市の方なのです。有名大学が立地している場所も、大都市に限られてはいません。

では、人々はいったいどんな理由で働く場所を選ぶのでしょうか。もちろん、どんな職業や会社を選ぶのか、そして就職に際して引っ越しを行うのかは、その人を取り巻く環境(地元に豊富な就業機会があるか、どんな基幹産業によって地域経済が支えられているのか、賃金水準はどうなのか、世帯家族や人口の流動性)によって、大きく左右されます。

一方、日本が経済成長を遂げ賃金水準が高まることによって、産業の空洞化も深刻となっています。製造業企業は人件費の安い海外に生産拠点を移し、国内は海外に移転することが困難なサービス業が中心となりつつあります。日本企業が海外展開するに伴い、海外で働く人々も増えています。これまでは、海外で働く日本人といえば日本の本社から派遣される駐在員とその家族が大部分でしたが、近年では大学を卒業してすぐに海外で働く若い人たちや、アメリカ・イギリス・オーストラリアに留学生して卒業後に働く人たちも増えています。反対に、途上国などから賃金水準の高い日本で働くことを目指して、外国人労働者も押し寄せています。日本政府は単純労働者の受け入れを禁止していますが、それにもかかわらず多くの日系ブラジル人や中国人研修生が日本の工場で働いています。

その一方で、東北地方の農村部を中心にして外国人の花嫁も急増しています。日本全体でも、婚姻総数に占める国際結婚の割合は6.1%にも達しており、結婚する日本人も珍しくなりつつあります。農村部で外国人の花嫁が増大した理由は、農家の後継ぎとしてイエを絶やしたくないという強い願望があります。また、条件の厳しい地域では、日本人の若い女性が魅力を感じないという要因もあります。こうした要因から、農村部では過疎化に拍車がかかっています。

現代の都市社会は、こうした深刻な状況に置かれています。研究を通じて、魅力ある地域を作り上げるための施策を考えていくことが大きな目標です。

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