言語文化学コース Linguistics and Literature

粕谷 雄一 (KASUYA Yuichi) 教授

[研究領域] フランス語学フランス文学
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【フランス語世界のひろがり】

十年くらい前まで、わたしの研究室の本棚はフランス文学関係の本と文学研究書、研究論文のコピーで一杯でした。わたしが特に好きで専門としていたのは 『赤と黒』 『パルムの僧院』 『恋愛論』 などを書いたスタンダールです。200年前の人ですから彼については既に世界中の人によって膨大な研究がなされているのですが、それでもとうてい汲みつくせない発想の豊かさ、そして謎を秘めた人なのです。

でも今ではこの本棚はものすごく様変わりしました。フランス文学、スタンダール研究をやめたわけでは全然ないのですが、北アフリカ、アラブ圏を中心とする世界のポップ音楽や、現代フランス社会、フランス語圏社会、また移民に関する諸問題や、映画、美術、マンガなどの芸術、そしてフランス語教育に関する本や資料、CDやビデオで一杯の棚が増えているのです。

ずいぶん分野の違ったものをやっていると思われるかもしれませんが、これらはけっして互いに無関係ではありません。つまりほとんど全てがフランス語を媒介とした情報に、そしてフランス語で仕事のできる人材育成に関係しているからです。

アフリカやアラブのフランス語圏の社会、歴史、文化について詳しいことを理解したりホットな情報をキャッチしたりするには、フランス語ができないと難しいのですが、必要な人材が不足しています。それで私のところにフランス語圏文化の説明依頼がたくさん来ます。2007年にはアルジェリア・ポップ音楽CD の解説を四つ書きました。いずれもエキゾチックでモダンな面白い音楽で、日本であまり知る人がいないのは残念です。

フランス語圏文化だけではありません。フランスが文化国家を自任して、世界中の文化振興に貢献して文化の多様性を守ろうとしている様子を観察するのは実に興味深いです。別にこれはフランスが正義の味方だというのではなく、世界で存在感を保つための手段の一つなのです。

その他の分野でもフランス語を用いて知ることのできる情報は尽きることがありません。世界をまたにかけて活躍している多くの人がある程度フランス語のできる人であることに気付かれた方も多いでしょう。

またフランスは、移民労働者問題、少子化対策等、いい意味でも悪い意味でも世界の問題を先取りしているところがありますから、その現状の理解は日本にとって欠かせないということも忘れてはいけないと思います。

そしてそのような世界の実情をフランス語を教えながら学生諸君に伝えることがわたしの勤めと思い、毎日楽しく授業させていただいております。わたしの場合、研究と教育も分けることはできません。

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