フィールド文化学コース Field Study of Cultures

河合 望 (KAWAI Nozomu) 准教授

[研究領域] エジプト学、考古学、文化遺産学、博物館学
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私の専門は、通称エジプト学(Egyptology)と呼ばれる古代エジプト文明の研究です。エジプト学とは、考古学、美術史、歴史学、碑銘学などを学際的に駆使して古代エジプト文明を研究する学問分野です。私はこれまで30年近く、毎年エジプトの遺跡の発掘調査や保存修復プロジェクトに参加してきました。現地でのフィールド・ワークに立脚し、常に一次資料を扱って研究に取り組んでいます。現在の私の研究は大きく3つの課題に分けることができます。


 第1は、エジプト有数の遺跡であるアブ・シールとサッカラ遺跡の考古学的発掘調査です。アブ・シール遺跡では南西に位置する聖なる丘とも呼べる丘陵で、王朝時代の開闢から約3000年にわたって、祭祀遺構や墓などの様々な遺構が検出されており、研究を継続しています。出土遺物の研究においては、形質人類学、動物考古学、植物考古学、分析化学などの自然科学分野の研究者との学際的な共同研究も進めています。近傍のサッカラでは、新たなプロジェクトとして新王国時代の墓地の発掘調査に取り組む予定です。発掘調査でこれまであまり明らかにされていなかった、サッカラに埋葬された新王国時代のエジプト北部の中心地メンフィスの人々の社会を解明することを目的としています。


 第2は、古代エジプト史の一大画期である一神信仰の宗教改革が断行された所謂アマルナ時代とその直後の信仰復興の時代の様相を考古資料、文字資料、図像資料を総合的に駆使して解明することを目的とします。この最初の試みは、博士論文Studies in the Reign of Tutankhamunで取り組みましたが、現在出版のために大幅な加筆修正を行いながら、研究を続けています。


 第3は、文化遺産の保護、活用、継承に関わる「文化遺産学」と博物館の理念と実践を扱う「博物館学」の研究です。現在、世界遺産をはじめ人類の文化遺産を保護し、次の世代に残していくことが重要な課題となっています。私もこれまでのエジプトの現地調査において、遺跡の保存修復や整備に関わってきました。今後も自らのフィールドを中心に文化遺産の保護、継承、活用に関する研究に取り組み、細やかな国際協力を試みたいと思います。博物館は、文化遺産の中でも動産物である遺物を収集、保管、保存、公開、活用、継承する場所です。私自身も多くの博物館展覧会の仕事を経験しました。現在、デジタル技術や3Dスキャンなどを駆使して新しい展示、活用の方法が導入されていますが、時代とともに進化する博物館のあり方について関心を持っています。人文学類には、博物館学芸員養成課程が開講されていますので、興味のある方は是非受講してください。
 是非皆さんもエジプトで発掘調査に参加し、古代エジプト文明の謎を解き明かし、世界遺産の保護と活用について一緒に考えませんか。意欲のある学生を待っています。

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