人間科学コース Human Sciences

小林 大祐 (KOBAYASHI Daisuke) 准教授

[研究領域] 社会階層論、社会調査法
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 わたしの研究関心は、社会学のなかでも特に社会階層論と社会調査法の2つの分野です。社会階層論は、社会のなかの格差・不平等について、社会階層という視点からアプローチしようとするもので、わたしはその中でも、特に若年非正規雇用層に焦点を当てて、研究を行っています。社会階層論のなかでも、階層が人びとにどのように意識されているかに焦点を当てる階層意識研究においては、階層帰属意識と呼ばれる「上・中・下」といった、自分の所属階層についての主観的な評価が何によって規定されているのか、そしてその規定要因が時代によって変化しているのかを明らかにしようとしています。わたしは、全国規模の社会調査の1995年のデータと2005年のデータを用いて、非正規雇用であることが、年収や職業内容とは独立に階層帰属意識にマイナスの効果を持っていること、そしてこのマイナスの効果は1995年データでは見られず、2005年になって初めて確認されることを示しました。たとえ収入や仕事内容が同じであっても、若年非正規雇用という「地位」にあることそれ自体が、自分が社会のなかのどのような位置しているかの評価にとってマイナスに働くという関連性が2005年データではじめて見いだされたのです。これは、いわゆる雇用の流動化が進み、非正規雇用層が増大する中で、人びとの地位評価基準の中に正規か非正規かという新たな要因が浮上したことを意味するものと考えられます。このほか、若年非正規雇用層をその不本意性から分類することで、従来「非正規」と一括りにされ見えにくくなっていた、非自発的若年非正規雇用と出身階層との関連を浮かび上がらせることにも関心を持っています。

 また、最近は社会調査の方法論についても関心を持っています。階層帰属意識について研究を行っていく中で、その測定において調査モードと呼ばれる、データ収集方法の差異が大きく影響しているのではないかという疑問を持ちました。複数の大規模社会調査データや実験調査データを用いた検証の結果、個別面接法のような実査を行う際に訪問調査員に回答する形式では、郵送調査や留置調査のような自分で調査票に記入する形式にくらべて、階層帰属意識が高く回答される傾向が確認できました。これは、調査員が目の前にいることで、自分の階層所属を「高め」に回答している可能性を示しており、このような質問を調査間や時系列で比較する際に、その調査がどのような調査モードで行われたか考慮に入れなければいけないことを確認するものです。

 これらはいずれもSSM調査と呼ばれる、1955年以降10年に1回、社会学者を中心とした研究グループによって継続されてきた全国調査に携わるなかで培われてきたものです。現在、2015年調査が行われ、その分析作業が進んでいますが、わたしもプロジェクト・メンバーの一員として研究を進めているところです。

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