フィールド文化学コース Field Study of Cultures

森 雅秀 (MORI Masahide) 教授

[研究領域] 仏教文化史、比較文化学
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アジア全域を視野に入れて、仏教の文化をさまざまな視点から研究しています。研究テーマを大別すると以下の三つにまとめられます。

(1)インドと日本の仏教に関する比較文化的研究

インドでおこった仏教は、中央アジアや中国、あるいは東南アジアなどを経由して、日本に伝来しました。その伝播の過程で、それぞれの地域や民族の人々によって受容されるとともに、仏教そのものが変質していきました。アジア全域に広がった仏教は、ひと口に仏教といっても、そのあり方は一様ではありません。教理や思想をはじめ、仏のイメージ、修行の方法、国家や民衆との関係など、さまざまな面で仏教は多様な姿を示します。このような仏教の多様性は、逆にそれぞれの文化のあり方を示す格好の題材となります。とくに、日本において仏教の影響のもとで生まれた思想、芸術、文学、習俗、祭事などは、日本文化を考える上で、欠くことのできない要素です。
 このような視点のもとで、仏教文化の比較研究を通して、日本文化とは何か、日本人とはいかなるものか、それはインドをはじめとする他のアジアの国々とどのような違いがあるのかについて、考察を進めています。

(2)インド密教の儀礼と美術に関する研究

インドでは13世紀頃に仏教は滅亡します。その最後の数世紀は、密教が優勢な時代でしたが、インド密教はインドの仏教史の中でも研究があまり進んでいない分野です。密教の特徴として、複雑な儀礼体系を持つことと、マンダラをはじめとする多様な造形作品が制作されたことがあげられます。この儀礼と図像をおもな研究対象として、当時の密教の実態の解明を進めています。
 具体的には、インドで著されたサンスクリット文献を手がかりに、インド密教の儀礼の構造とその象徴体系の解明につとめています。そのための基礎研究として、儀礼や図像に関する基本的な文献の批判的校訂テキストの作成とその翻訳を発表してきました。また、当時の仏教の美術資料や考古学的資料に関する現地調査を行い、より包括的な視点からの仏教研究を行っています。とくに北東インドの仏教美術について、現存する作例のデータをふまえ、主要な仏たちの図像学的研究を行ってきました。

(3)アジアの宗教美術に関する情報プラットフォームの構築

仏教美術を中心としたアジアの宗教美術の研究基盤を整備し、視覚芸術を中心としたアジアの宗教文化の解明を行っています。
 インド、中国、チベット、東南アジア諸国等において宗教美術の画像資料を組織的に収集するとともに、国内の諸機関に所蔵されている宗教美術の画像データを整理・統合し、インターネット上で公開するための統一的フォーマットの開発を進めています。また、宗教美術の主要なジャンルである絵画、彫刻、工芸、壁画、建築などに関する画像データを中心に、文献情報、書誌情報、地理的情報などとリンクした統合的なデータベースを作成し、全体を一元的にあつかう情報プラットフォームを作成しています。そのために、国内外の関連分野の研究者との共同研究の態勢を整え、さらに、情報科学や保存科学などの理系分野との連携を進め、人文学というジャンルにとらわれず、研究機関や研究分野の垣根を越えた学際的な学術連携の可能性をさぐっています。

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