人間科学コース Human Sciences

轟 亮 (TODOROKI Makoto) 教授

[研究領域] 社会調査データを用いた社会階層と社会意識の研究
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(1)社会学の面白さ

社会学は、高校生にとってあまり馴染み深くなく、法学、経済学など他の社会科学や、文学、哲学などの人文学、心理学に比べると、イメージしにくいかもしれません。でも企業や社会できちんと認知され、評価されている学問です。社会学は「最後の社会科学」と言われており、社会を研究する学問(ディシプリン)のなかでは最も新しいので、しょっちゅう「社会学はどのような学問であるべきか」を語っている傾向があります。
私が関心をもつテーマのひとつに、社会学論、社会学教育論があります。社会学は他の社会科学が取り扱わなかった現象にどんどん切り込んでいくという開拓性と、複雑な社会をまるごと捉えようという総合性という特徴をもちます。例えばウェッブ社会のような、何か新しい社会現象が現れると、社会学は積極的に研究対象とし、その現象をさまざまな要素との関連性から解読しようとします。研究テーマの柔軟さ、思考の幅広さは、社会学の大きな魅力です。私は今でも、いろんな出来事に社会学がどのような説明を与えるのかを考えるとわくわくし、結果、物知りになっている気がしています。
以前書いた、「社会学教育を考える」という文章のなかでは、社会学を学ぶと社会についての大事な知識が増える、社会のしくみがよくわかる、より賢い生活者・職業人になれる、と述べました。どうしてそうなるのかはここでは省略しますが、ちゃんと理由があります。みなさんに、ぜひ社会学に触れてもらいたいと思っています。

(2)社会調査法とデータの分析

社会学論にも関心がありますが、もっときちんとした専門では、社会調査の方法を研究しています。社会を科学的に研究するには、データが必要です。適切なデータがなければ、何を語っても、それはただのお話のレベルに止まってしまいます。ここで言っている社会調査とはデータの収集法の一つで、企業や役所でも多く行われている、いわゆるアンケート調査のことです。でも、アンケートってあまり学問的な匂いがしないというか、怪しい印象までもあるかもしれません。全くそのとおりで、実は多くの「アンケート調査」には、科学的な方法としてさまざまな問題があります。社会の正しい認識に近づくためには、適切に社会調査を実施する必要があります。そこでいま、共同研究者たちとともに実践的な社会調査法の開発を行っています。調査レポート「個人情報保護に対応する社会調査の技法―全国自治体調査から―」は、その成果の一部です。

(3)社会意識論

また、社会調査によって得たデータを用いて、社会に生きる人々のものの考え方(社会意識)がどのようになっているのか、社会意識の違いは何によって生じるのか、時代と共にどのように変化するのかについて研究しています。論文「職業観と学校生活感―若者の「まじめ」は崩壊したのか」では、17年の時間の経過で、高校生の社会意識がどのように変化したのかを明らかにしました。現在は、2005年実施の全国調査データを使って、ひとびとの価値観や政治意識にどのような変化があったのかを分析し、例えば、大衆的な小泉支持という不思議について解こうとしています。他にも「合理的選択と正義」「組織と合意形成」などの研究テーマがあるのですが、今回はここまで。授業などでお会いしましょう。

  • 俵希實・田邊浩・轟亮 2008 「個人情報保護に対応する社会調査の技法―全国自治体調査から―」『社会と調査』創刊号(近刊).
  • 轟 亮 2006 「社会学教育を考える」『ソシオロジ』157: 127-134.
  • 轟 亮 2007 「職業観と学校生活感」,本田由紀・平沢和司編,『学歴社会・受験競争』(リーディングス日本の教育と社会 第2巻),253-271.
  • 轟 亮編著 2008 『平成16〜19年度科学研究費補助金〔特別推進研究)〕研究成果報告書
    2005 SSM調査シリーズ8 階層意識の現在』,
    2005年 SSM調査研究会(第11章「権威主義的態度と社会階層」を担当).
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