言語文化学コース Linguistics and Literature

渋谷 良方 (SHIBUYA Yoshikata) 准教授

[研究領域] 英語学、認知言語学、構文文法、コーパス言語学
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私は英語学を主な研究領域としています。英語学とは、英語の特徴を科学的に捉えることを目指す言語学の一分野です。英語は自然言語です。自然言語とは、自然発生的に発展してきた系であり、特定の文化的背景を持ち、人間が意思疎通のために日常用いる言語のことを指します。

自然言語の母語話者は、母語について非常に多くのことを知っています。例えば、母語話者は、母語に含まれる語の意味や発音に関する知識を持っています。彼らはさらに、語に正しい接尾辞(あるいは接頭辞)を付ける方法も知っていますし、語を句や節(あるいは文)といったより大きなユニットに収める方法も知っています。母語話者であれば、必要に応じて造語する方法や、造語の意味を即座に理解する方法についても知っています。彼らはさらに、対話者が述べたことが、実際に意図された内容と異なることも知っていますし、文脈や対話者との関係に応じて言語の使い方を柔軟に変化させる方法についても熟知しています。

このように母語話者は言語について大変多くのことを知っています。彼らの豊かな言語知識が、彼らが母語を流暢に操ることを可能にしているのです。さて、ここで疑問がいくつか浮かびます。母語話者の言語知識は頭の中ではどのように構成されているのでしょうか。上記のように彼らは多くのことを知っていますが、具体的には彼らは「何」を知っているのでしょうか。どのようにしてそれを学ぶのでしょうか。言語知識の構成や変化を可能にする能力やメカニズムとは、一体どのようなものなのでしょうか。

私の目標はこれらの問いに答えを出すことです。より具体的には、私は、英語母語話者の言語活動を支える言語知識の解明を主な研究テーマとして研究を行なっています。私が依拠する理論的枠組みは認知言語学です。認知言語学では、言語知識は話者の一般的認知能力の発現として捉えられ、言語の使用面を重視した帰納的研究が行われています。これは、演繹的に文法的現象を分析する生成文法の立場とは対照的です。私は、認知言語学の視点から、コーパス(実際の言語使用を集成した言語資料)から抽出したデータに定量的分析を行うことにより、英語母語話者の言語知識を詳細に記述・説明することを目指しています。

認知言語学では、文法は概念によって動機づけられるものと考えられています。概念や文法という話者の言語知識の解明は大変難しい研究課題であり、研究の遂行には、心理学、情報科学、神経科学、哲学、社会学などの認知科学の諸分野の知見を取り入れた学際的研究が求められます。「自然言語」とは人間を特徴付ける重要なキーワードです。言い換えれば、自然言語の研究は、人間という複雑な存在について理解を深めるために必要不可欠な探求であり、言語学に取り組む重要性はまさにその点にあると私は考えています。

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