心理学コース Psychology

岡田 努 (OKADA Tsutomu) 教授

[研究領域] 青年期の自己と対人関係
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「今時の若者」と聞いたとき、皆さんはどのような姿を思い浮かべるでしょう?周りの迷惑を考えずに騒ぐ、ゴミをポイ捨てする、礼儀を知らない、人目を気にしない……などなど、きっと悪い面がたくさん思い浮かぶかと思います。しかし、若者というのは、いつの時代でも、上の世代から常に批判されてきました。今、若者の行動に顔をしかめている「おとな」たちも、若い頃には、その上の世代から、さんざん悪く言われてきたはずです。その意味では、「今時の若者」の姿を考える際には、常に一歩離れた冷静な視点が必要となるでしょう。一方、世の中は急速に変化し、コミュニケーションツールも変化し、それにあわせて、対人関係の持ち方も変化してきています。そうした現代社会に今生きている若者世代(心理学では「青年」と呼びます)には、特異な行動上や心理的メカニズムというのはないのでしょうか?青年期の発達研究の中で述べられてきた特徴と全く同じと言えるのでしょうか?

私の研究上の関心…というよりも疑問を簡単に述べれば以上のようなものになります。これらの疑問について答えを見いだすことは容易ではありません。データを取り、分析し、客観的な指標によって示していく、その地味な作業の繰り返しです。

その繰り返しの中からしかしいくつかのことは見えてきました。たとえば若者の人間関係には図のように大きく3つのパターン(関係回避、群れ、個別関係)が一貫して見られること、それらのパターンによって、自己のあり方も適応の仕方も特徴が見られることなどが分かってきました。このことは「今時の若者」という形で若者像が一括りにはできないということも意味しています。そうした姿が見えてきた時は、まさに研究をやっていることの楽しさを味わえる瞬間でもあります。

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