フィールド文化学コース Field Study of Cultures

中村 慎一 (NAKAMURA Shinichi) 教授

[研究領域] 中国考古学・農業考古学・比較考古学
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私の研究は以下の三つに大きく分けることができます。

  • 1) 中国新石器文化研究
  • 2) アジア稲作の起源と展開に関する研究
  • 3) 社会進化に関する比較考古学的研究

一番目の中国新石器文化研究、特に長江下流域新石器文化の研究は、大学院生の頃からずっと取り組み続けているテーマで、私の研究の根幹を成すものといえます。私が常日頃心がけていることは、単なる傍観者あるいは紹介者として中国考古学に接するのではなく、中国人学者と同じ土俵の上で主体的に研究を押し進めることです。そのためにも、毎年数回の訪中調査を欠かさず、最新の研究動向の把握に努めています。これまでに研究代表者として取り組んできたプロジェクトには、「良渚文化における石器の生産と流通に関する研究」「長江下流域新石器文化の植物考古学的研究」「浙江余姚田螺山遺跡出土自然遺物の総合的研究」などがあります。

二番目のテーマであるアジア稲作の起源と展開に関する研究の成果は、2002年に 『稲の考古学』(同成社)という書物にまとめました。アジア稲作の研究は、西はインド亜大陸から東は日本列島までという、とても広大な地域を対象とします。また、考古学の成果ばかりでなく、農学、遺伝学、古環境学、生態学、民族学などの関連諸分野の研究成果にも絶えず目を配っておかなければなりません。その必要もあり、近年はいわゆる学際的研究を強く志向するようになりました。他分野の研究者との共同研究は、時として「言葉が通じない」こともありますが、考古学者には思いもよらない発想や視点に目を見開かされることもあり、とても刺激的です。

三番目に挙げられるのが社会進化に関する比較考古学的研究です。比較考古学とは、ある事象について複数の地域の状況を比較検討することで、多数の地域に共通してみられる普遍性と個別の地域にしかみられない特殊性とを把握しようとする研究法です。この分野における私の興味の中心は、都市と国家の起源問題にあります。古代文明の誕生に関する研究と言い換えることもできます。専門とする中国を中心に据え、それを他地域の状況と比較考察することによって、中国考古学の成果を人類史のなかに正当に位置づけていきたいと考えています。また、比較考古学研究の一環として、外国考古学研究者の立場からみた日本の先・原史文化、特に弥生文化の特質についても提言を続けています。「岡目八目」という言葉がありますが、外から見るとかえってよく見えるということもあるものです。

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