言語文化学コース Linguistics and Literature

安永 大地 (YASUNAGA Daichi) 准教授

[研究領域] 心理言語学、認知科学、人間の言語理解
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もしあなたが日本語を話す両親に育てられ、日本語に囲まれて生活してきたのであれば、あなたは今この文をすらすらと読めていることでしょう。このことは、あなたが「日本語を使えるから」だととらえることができます。私は、言語学という人間の言葉を研究対象にした研究分野に属しています。言語学において「ヒトはなぜ言語を使えるのか?」という問いを立てることができます。この問いを解明することこそが言語学の目標というわけです。この目標を達成するためには多くの課題を解決する必要があります。あなたが日本語という言語を使えるということは一体どういうことなのか考えてみましょう。たとえば、あなたの脳・こころの中には日本語に関するどのような知識があるのでしょう?そして、その知識はあなたが生まれてから現在までにいつ、どのようにして脳・こころの中に形成されてきたのでしょう?また、その知識は、あなたが日本語を読むときや話すときにはどのように使われるのでしょう?そして、その知識は脳内にどのような神経基盤を持ち、それは生物の進化の中でどうやって獲得されたものなのでしょう?課題を挙げ始めたらキリがないほど、言語には謎がたくさん秘められています。

私自身は、母語(私の場合は日本語)の文理解に関心を持ち、大学生のころから研究に取り組んできました。言語を読んで理解すること、聞いて理解することは通常とても高速なのにもかかわらず、多くの場合は、その理解に困難さを感じることすらありません。これは私たちの脳・こころの中に言語を理解するための仕組みが備わっているためだと考えることができます。では、超高速に動作する言語理解のための仕組みには一体どんな特徴が備わっているのでしょう?また、その仕組みは日本語を使う人と英語を使う人、少数民族の言語を使う人で共通なのでしょうか?このような問いに答えるためには、言語理解がとても高速であるという特徴を見逃すわけにはいきません。高速で展開される言語理解の過程を追っていくためには、ミリ秒(1000分の1秒)単位での人間の変化を観察することができる方法が必要です。コンピュータを使って、人間が文を読むのにかかる時間をミリ秒単位で計測する実験や、脳波という人間の生命活動や認知活動に伴って生じる微弱な電気の変動を記録する実験を行なうことで、人間の言語理解過程を明らかにしようとしています。言語学は、言語そのものの歴史や文法を詳らかにするだけではありません。言語は人間だけが使える特別な存在です。そんな言語を使う人間にどんな仕組みが備わっているのか、ぜひ一緒に考えてみませんか?

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