歴史文化学コース History

過去と現在のたゆまぬ対話
人はどのように生きてきたのか

歴史文化学コースは、文学部史学科の流れを継承しています。ここで勉強できるのは、日本史学、東洋史学、西洋史学、考古学です。利用する資料は文献からモノまでさまざまですが、いずれも人類の過去を対象とする学問です。みなさんは高校で日本史や世界史を勉強していると思います。
しかし大学での勉強は、既存の歴史像を学ぶだけではなく、みずから新しい歴史像を描くことにも挑戦しなければなりません。そのためには、ただ過去に眼を向けるだけではなく、現在の世界にも鋭い眼を向けなければなりません。歴史文化学コースでは、過去と現在の対話を通してあなたの感性を豊かなものにしていきます。

卒業論文テーマ例

  • 八世紀律令官人制における采女の役割
  • 律宗西大寺派の関東進出 ―思円房叡尊下向の意義―
  • 幕末期における幕府外交の実態と特質 ―不開港場問題を中心に―
  • 後漢における河西豪族の中央官界進出について
  • 北宋哲宗元祐期の中央官庁の胥吏について ―特に尚書省吏額房に注目して―
  • 陶安とその生涯 ―元末明初の儒者の一例―
  • 20世紀フィンランド女性の社会的役割
    ―女性による準軍事組織Lotta Svärd Organizationを通して―
  • シャルル5世からルイ11世治世における王権と諸侯関係 ―親王国に着目して-
  • 19世紀後半以降のロシア帝国におけるジャディード運動と東洋学者の関係

このような研究をしています

私は中国古代史、中でも後漢・三国から南北朝時代初期(1世紀~5世紀頃)までが専門です。三国時代といえば『三国志演義』の小説世界を想像するかも知れません。
しかし最近、中国・湖南省の長沙市で三国呉の帳簿・報告書類が大量に出土し、フィクションではない、当時の社会の実態を具体的に明らかにする新たな可能性が開けてきています。私もこの研究に取り組んでいます。なまの史料を相手に、みんなが知っているのとは一味違うもっとリアルな歴史像を自力で切り開く、そんな挑戦にあなたも加わってみませんか。

教授写真
歴史文化学コース
安部 聡一郎 ABE Soichiro
[主履修分野] ê 日本史学 ê 東洋史学 ê 西洋史学 ê 考古学

日本史学

歴史学を学ぶうえで大切なことは、過去との向き合い方です。古文書や日記などの史料は、それを記した人々と対話する気持ちになって読めば、その時代についてさまざまなことを語ってくれます。

日本史学主履修分野で開講している、「概説」・「特殊講義」・「演習」・「実習」という授業のうち、「実習」は、史料解読の方法論を手ほどきするための授業です。
ここでは、くずし字で書かれた古文書を解読する技法やむかしの用語・制度を調べる手段を学び、あわせて史跡を現地見学し、資料館や博物館で史料の実物に触れます。

金沢大学は、城下町の歴史的環境を活かし、日本史学を学ぶうえで大変恵まれていると言えるでしょう。

担当教員

  • 能川 泰治
  • 平瀬 直樹
  • 吉永 匡史
  • 上田 長生 *
* は準専任です 授業風景

東洋史学

≪史料に触れながら東アジアの歴史を描こう!≫

東洋史学主履修分野では、おもに文献史料の読み解きに基づいて、東アジア、とりわけ中国や朝鮮半島の歴史の特徴を深く理解することを目標としています。

みなさんは、演習や実習、教員からの直接指導を通して、史料を読む能力を養い、研究する力と興味関心を高めつつ、自分で選んだ研究テーマについて詳しく学んでいくことができます。

担当教員の研究領域は、中国史のほぼ全部の時代をカバーし、研究テーマ も多方面に広がっています。
中国史のどの時期を学びたくても対応できる教員がいる、そして史料に取り組み、過去の世界を自分で探求するホンモノの面白さを味わえる、これが本主履修分野の一番の特長です。

担当教員

  • 古市 大輔
  • 安部 聡一郎
  • 古畑 徹 *
* は準専任です 授業風景

西洋史学

現在、私たちはヨーロッパに関するさまざまな情報を、インターネットを通じて簡単に入手できます。
世界遺産から路地裏までヨーロッパ各地を紹介する番組も増えています。ヨーロッパはますます私たちの身近な存在になりつつあると言えるでしょう。

西洋史学は、まだまだ知られていないヨーロッパのさまざまな側面を、歴史を通じて掘り下げようとする学問です。残された史料や、それらを解読・研究して書かれた学術書や論文などをたよりに、過去を旅して歴史を再構成し、人びとの行動や考え方、社会のあり方などについて理解を深めます。

奥深い歴史の世界に向き合うことによって、これからの多難な時代を生き抜くヒントを見つけてもらえればと思っています。

担当教員

  • 根津 由喜夫
  • 田中 俊之
  • 堀内 隆行
授業風景

考古学

みなさんは、考古学という学問について、ツタンカーメン王の墓から出土した財宝、始皇帝の墓の近くで発見された兵馬俑坑、高松塚などのイメージを持っているかもしれません。

しかし、考古学者の仕事は、このような豪華なものが出土する発掘ばかりではありません。多くの土器片を観察し、見出される特徴が時期的にどのように変化していくかを考えたり、墓の形や住居址の部屋の配置などから、他地域との影響関係を推察したりする、地道な研究が大半です。世界中のどの地域、どの時代もこの学問の対象になります。

授業では、様々な事例から、考古学の方法を学び、実践する練習をします。また、遺物・遺跡を正確に記録する方法も学びます。

特別プログラム「考古学」のページはこちら

担当教員

  • 足立 拓朗
授業風景

voice|学生の声

大学で歴史を学び、一番驚いたことは「今まで学んできた教科書の内容が正し いとは限らない」ということです。歴史の解釈は常に変わり続け、教科書への反映 が追いつかないからです。
 西洋史学コースのゼミでは英文和訳や文献講読、レジュメを用いた発表などを行い、質疑応答を通じて研究室の仲間たちと共に学びを深めています。最新の研究を行なっている先生方からご教授を受け、自分たちが新たな歴史を形作っていくことを目標に日々邁進しています。

歴史文化学コース・
西洋史学主履修分野

私は日本史学を学ぶなかで、「この学問は過去と向き合うことで、今の私たちがどんな立ち位置にいるのかを、客観的に考えさせてくれるものだ」と強く感じています。アプローチの仕方は様々ですが、ゼミでは論文や史料の読解を通して、先生方やゼミの受講生とその内容について質問、応答、意見交換をします。自分が気づかなかった点や重要な問題点を議論していくことで、より理解が深まると同時に、私なりの歴史像が少しずつ形作られていくのを実感しています。
 歴史遺産が豊富で、それだけに歴史を身近に感じながら学ぶことのできる金沢という地で、研究室構成員のみんなとお互いに切磋琢磨する充実した日々を送っています。

歴史文化学コース・
日本史学主履修分野

考古学では、座学以外にも、遺物や遺跡を実際に観察することが重要です。
  考古学主履修分野の授業では、遺物を観察する方法や、遺跡を発掘する方法についても学び、希望者は国内外の発掘調査に参加することができます。僕も、金沢大学が調査しているヨルダン、サウジアラビアでの調査に参加し、発掘を体験しました。
 授業で学んだ通りの段取りで発掘が進む様や、参考書で見たものと同じ型の遺物が実際に出土するのを見ること、逆に、授業では学べないこと、通説や教科書と食い違う事例も存在することを実際に目の当たりにできることは、考古学を学ぶ楽しみであると思います。

歴史文化学コース・
考古学主履修分野
l Contents Menu
ü